【薬物動態を徹底解説!】|ADMEとは?:E(排泄)編

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【看護学生向け】薬物排泄とは?腎臓の3つの仕組みとADMEの「E」をやさしく解説!

薬を飲んだあと、その薬はずっと体の中に残り続けるのでしょうか?

もちろん、そんなことはありません!

薬は体の中で作用したあと、時間とともに体外へ排泄されていきます。

これまでの記事では、薬物動態(ADME)の「吸収(A)」「分布(D)」「代謝(M)」について解説してきました。

ADMEを順番通りに見ていくと理解も深まると思うので、是非そちらの記事も見てください

今回は、ADMEの最後となる「E:排泄(Excretion)」について学んでいきましょう!

特に、薬の排泄に重要な役割を担う腎臓の働きを中心に解説します。

この記事では、次の内容が理解できるようになります。

  • 薬物排泄とは何か
  • 腎臓で薬が排泄される3つの仕組み
  • 腎機能が低下すると薬にどんな影響があるのか
  • 看護師が薬物排泄を理解しておくべき理由

薬物排泄も、丸暗記するのではなく、身体の仕組みから理解していきましょう!

目次

① 薬物排泄(Excretion)とは?

薬物排泄とは、薬やその代謝物が体の外へ出ていくことです。

私たちの体には、不要になった物質を体外へ排出する仕組みがあります。

薬も例外ではありません。

薬の種類によっては、肝臓で代謝されたあとに排泄されるものもあれば、ほとんど代謝されずに排泄されるものもあります。

ここで覚えておきたいのが、「代謝」と「排泄」の違いです。

  • 代謝(Metabolism):薬の化学構造を変化させること
  • 排泄(Excretion):薬や代謝物を体外へ排出すること
学生さん

代謝は薬を別の物質へ変化させる過程で、排泄は体の外へ出す過程なんですね。

薬はどこから排泄されるの?

薬の排泄経路として代表的なのは、次の2つです。

① 腎排泄(尿中排泄)

腎臓を通して尿の中へ排泄される経路です。

② 胆汁排泄

肝臓から胆汁中へ排泄され、腸管へ移動する経路です。胆汁中に排泄された薬や代謝物は、便として体外へ出たり、腸から再吸収されたりする場合があります。

このほかにも、呼気などを通して排泄される物質があります。

今回は、薬物排泄を理解するうえで特に重要な腎排泄に注目していきます!

② 腎臓で薬が排泄される3つの仕組み

腎臓は、血液中の老廃物や余分な水分などを尿として排出する重要な臓器です。

薬も、この腎臓の働きを利用して体外へ排泄されます。

腎臓の中で尿をつくる基本単位をネフロンといいます。

ネフロンは、糸球体と尿細管などから構成されています。

薬が腎臓から排泄される仕組みには、主に次の3つがあります。

  1. 糸球体ろ過
  2. 尿細管分泌
  3. 尿細管再吸収

それぞれ順番に見ていきましょう!

① 糸球体ろ過:血液中の薬をろ過する

まずは糸球体ろ過です。

糸球体は、細い血管が毛糸玉のように集まった構造をしています。

ここでは血液中の水分や小さな物質がろ過され、尿のもととなる原尿がつくられます。

血液中に存在する薬も、一部はこの過程で原尿へ移動します。

ただし、すべての薬が自由にろ過されるわけではありません。

血液中の薬には、アルブミンなどの血漿タンパク質と結合しているものがあります。

基本的に、糸球体でろ過されるのはタンパク質と結合していない薬(遊離型薬物)です。

学生さん

つまり、薬が血漿タンパク質とどの程度結合しているかによっても、ろ過されやすさが変わるんですね。

💡 POINT
糸球体ろ過は、血液から原尿へ薬が移動する仕組みです。
タンパク質と結合していない遊離型薬物がろ過されることを覚えておきましょう!

② 尿細管分泌:血液から尿細管へ薬を運ぶ

次は尿細管分泌です。

糸球体でろ過されなかった薬の中にも、腎臓から排泄されるものがあります。

その仕組みの一つが尿細管分泌です。

尿細管分泌では、血液中の薬が尿細管の細胞を介して、尿細管内へ運ばれます。

このとき重要な役割を果たすのが、トランスポーターと呼ばれる輸送タンパク質です。

トランスポーターが薬を運ぶことで、糸球体ろ過だけでは排泄されにくい薬も尿中へ移動できます。

また、複数の薬が同じトランスポーターを利用する場合、薬物相互作用が生じることもあります。

💡 POINT
尿細管分泌は、トランスポーターなどを利用して、血液中の薬を尿細管内へ運ぶ仕組みです。

③ 尿細管再吸収:尿細管から血液へ戻る

最後は尿細管再吸収です。

糸球体でろ過された物質が、すべて尿として排泄されるわけではありません。

原尿に含まれる水分や必要な物質の多くは、尿細管で再吸収されて血液中へ戻ります。

薬も、その性質によっては尿細管から血液中へ戻ることがあります。

例えば、脂溶性が高い薬や、イオン化していない薬は、尿細管から再吸収されやすい場合があります。

再吸収された薬は、その分だけ尿中へ排泄されにくくなります。

💡 POINT
尿細管再吸収は、尿細管内の薬が血液中へ戻る仕組みです。
薬の性質によって再吸収のされやすさが異なります。

腎排泄の3つの仕組みを整理しよう!

仕組み薬の移動ポイント
糸球体ろ過血液 → 原尿遊離型薬物がろ過される
尿細管分泌血液 → 尿細管トランスポーターなどが関与
尿細管再吸収尿細管 → 血液薬が血液中へ戻る

つまり、腎臓からの薬物排泄は、

糸球体ろ過 + 尿細管分泌 − 尿細管再吸収

という関係で理解できます。

ただし、薬の種類によって、それぞれの仕組みがどの程度関与するかは異なります。

この3つの流れをイメージできれば、腎排泄の基本はバッチリです!

③ 腎機能が低下すると薬はどうなる?

ここからは、臨床にもつながる重要な内容です。

腎臓の働きが低下すると、薬によっては排泄が遅くなることがあります。

特に、腎臓から多く排泄される腎排泄型薬物では注意が必要です。

腎機能が低下すると、

腎臓から薬が排泄されにくくなる

↓

体内に薬が残りやすくなる

↓

血中濃度が上昇する場合がある

↓

作用が長引いたり、副作用が現れやすくなったりする

といったことが起こる可能性があります。

具体例:抗菌薬のバンコマイシン

例えば、MRSA感染症などに使用されるバンコマイシン(点滴静注製剤)は、腎臓からの排泄が重要な薬です。

腎機能が低下すると排泄が遅れ、血中濃度が高くなることがあります。

そのため、患者さんの腎機能に応じた投与量や投与間隔の調整が必要になる場合があります。

また、バンコマイシンでは、血液中の薬の濃度を測定して投与を調整するTDM(治療薬物モニタリング)も重要です。

つまり、腎臓の働きは、薬の効果や安全性にも大きく関わっているんですね。

💡 POINT
腎機能が低下している患者さんでは、腎排泄型薬物の排泄が遅れることがあります。
ただし、すべての薬が同じように影響を受けるわけではありません。薬ごとの排泄経路を理解することが大切です。

④ 腎機能はどうやって確認するの?

ここまで読んで、

「腎機能が低下しているかどうかは、どうやって判断するの?」

と思った方もいるかもしれません。

腎機能を確認するために用いられる代表的な指標には、次の3つがあります。

① 血清クレアチニン(SCr)

クレアチニンは、主に筋肉の代謝によって生じる物質です。

腎臓から排泄されるため、腎機能が低下すると血液中のクレアチニンが増加することがあります。

ただし、血清クレアチニン値は筋肉量などの影響も受けます。

特に高齢者や筋肉量が少ない患者さんでは、数値だけで腎機能を判断しないことが大切です。

② eGFR(推算糸球体ろ過量)

eGFRは、糸球体が血液をろ過する能力を推算した指標です。

通常は血清クレアチニン値や年齢、性別などをもとに算出されます。

eGFRの値が低いほど、糸球体のろ過機能が低下している可能性があります。

ただし、急激に腎機能が変化している場合や筋肉量が少ない患者さんでは、推算値の解釈に注意が必要です。

③ クレアチニンクリアランス(Ccr)

クレアチニンクリアランスは、腎臓がクレアチニンを血液中からどの程度取り除くことができるかを示す指標です。

採血と蓄尿から測定する方法のほか、年齢・体重・血清クレアチニン値などから推算する方法もあります。

薬剤によっては、投与量や投与間隔を決める際にCcrが用いられます。

なお、eGFRとCcrは同じ数値ではありません。

また、検査結果に表示されるeGFRは通常、標準体表面積で補正された値です。実際の薬物投与量を検討する場合は、患者さんの体格や薬剤ごとの基準も考慮する必要があります。

看護学生の段階では、まず「腎機能を確認する指標には複数の種類がある」と理解しておきましょう!

⑤ なぜ看護師にも「薬物排泄」の知識が必要なの?

看護師は薬を投与するだけでなく、患者さんの状態を継続的に観察する重要な役割を担っています。

そのため、薬物排泄の仕組みを理解しておくことは、安全な薬物療法につながります。

例えば、腎機能が低下している患者さんに腎排泄型薬物が投与されている場合、通常よりも薬の作用が長引いたり、副作用が現れたりする可能性があります。

また、入院中に脱水や急性腎障害などが生じ、腎機能が変化することもあります。

そのような場合、以前と同じ薬・同じ投与量でも、薬の効き方が変わることがあるのです。

看護師が確認したいポイント

薬物療法を受けている患者さんでは、次のような点を意識しましょう。

  • 腎機能の変化:血清クレアチニン、eGFRなどの推移
  • 尿量や水分バランス:尿量の変化、脱水や浮腫の有無
  • 薬の効果・副作用:期待する効果が得られているか、異常な症状が出ていないか
  • 使用している薬:腎機能に応じた調整が必要な薬や、腎機能に影響する薬がないか

特に重要なのは、検査値だけでなく、患者さんの状態を合わせて確認することです。

例えば「最近、尿量が減ってきた」「クレアチニン値が上昇している」などの変化があれば、腎機能への影響を考え、医師や薬剤師と情報を共有する必要があります。

ただし、尿量が保たれていても腎機能が低下している場合はあるため、尿量だけで判断することはできません。

💡 看護師が覚えておきたいこと

「いつもと同じ薬・同じ量だから大丈夫」とは限りません!

腎機能が変化すると、一部の薬では排泄が遅れ、血中濃度や副作用のリスクが変わる場合があります。

薬の作用だけでなく、患者さんの腎機能や全身状態にも目を向けることが、安全な薬物療法につながります。

⑥ まとめ|薬物排泄を理解すると、薬の動きが見えてくる!

今回は、ADMEの最後となる**「E:排泄(Excretion)」**について解説しました。

今回の重要ポイントを振り返りましょう!

  • 薬物排泄とは、薬や代謝物が体外へ排出されること
  • 代表的な排泄経路には、腎排泄と胆汁排泄がある
  • 腎排泄には、糸球体ろ過・尿細管分泌・尿細管再吸収の3つの仕組みが関わる
  • 腎機能が低下すると、一部の薬は排泄が遅れて体内に蓄積することがある
  • 看護師は腎機能や尿量、薬の効果・副作用などを総合的に観察することが大切

今回の排泄編で、薬物動態のADMEを一通り学ぶことができました!

A:吸収(Absorption)

D:分布(Distribution)

M:代謝(Metabolism)

E:排泄(Excretion)

薬が体内に入ってから、どこへ運ばれ、どのように変化し、体外へ出ていくのか。

この一連の流れを理解することは、薬の効果や副作用を考えるうえで大切な基礎になります。

薬の名前や特徴を一つずつ丸暗記するのではなく、「体の中で薬がどう動いているのか?」をイメージしながら学んでいきましょう!

あわせて読みたい

  • ADMEとは?薬物動態の基本を解説
  • ADMEの「A・D」|吸収と分布
  • ADMEの「M」|薬物代謝とCYP

参考資料

※本記事は看護学生向けの学習資料です。個別の患者さんに対する薬剤の使用や投与量調整は、最新の電子添文などを確認し、医師・薬剤師などの医療従事者が判断する必要があります。

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